先日舞い込んできた屏風というか衝立です。取りあえずばらしてやらなければ
作業に掛かれません。
いきなりですが、解体した残骸。 使えない部分です。
こっちは使えそうなパーツ。 最初骨格部分は全てやり代える気でいましたが、
途中で気が変わりました。
使える部材はやはり使ってあげる事にしました。 愛着もあるだろうし。
(本当はこれだけのホゾを切るのが邪魔くさくなっただけかも)
それに、鉋で削ってみるとなかなか良い味なのです。
右の方の細長い部材は、上面が微かにカーブしており、こいつの為に
内丸の豆ガンナを発注しました。
手前にある2本は使えない部材。 それ以外は表面を薄く鉋掛けしたもの
です。 かなり古い物のようで、鉋掛けでは白木の状態には戻りません。
華奢な部材でホゾ組箇所が多く、ホゾの嵌め合いは驚くほど甘いです。
ホゾは根本部分だけで効いているようで、多分ハタガネを使わないでも入る
程度かと思います。
ある程度作業性を考慮したんだろうと思います。
下の方にあった鏡板4枚。これはかなり薄い板なので、削らずに洗って
汚れを落とします。板厚が5mm無いようです。
模様の入った竹籤のスノコ。合計4枚ありますが、表と裏があるようです。
これは洗って汚れを落とした状態ですが、色の違いがわかりますか?
ちゃんとヒゴの表(というか、皮が付いていた側)と裏が同じ側に並んで
います。 恐るべし。
開いてみるとこれだけ違います。
何だか良い感じに古びた、何とも言えない風情の屏風だなあと感心して
見ていたのですが、念のために濡れぞうきんでこすってみました。
単に汚れてただけなのね・・・・・
詫びとかサビとかいうものは、こういう物なのかもしれないなあ・・・。
ということで、スノコ4枚はじゃぶじゃぶ水洗い。
ものすごい汚れが出てきました。
と、怖れていた事が。
ヒゴをかがってある糸が朽ちていて、あちこちほつれています。
これをカガリ直すとなると、ものすごく根気の要る作業になります。
1枚のスノコのカガリ糸は8箇所。4枚で32箇所。誰かたすけて〜〜。
蝶番も、それを止めてある釘も、錆びて朽ちる寸前です。
釘を抜こうとトライしましたが、殆ど無理。 蝶番も無理な力を
掛けるとポロッといきそうです。 これは諦めるしか無いようです。
で、調達したのがこれ。 先ずは杉の部材。 例の棟梁に頼んで建具屋さん
から分けて貰いました。 高かったです。
その代り、指定の板厚ぴったりに仕上げてくれており、半割りすれば使えます。
左手前が蝶番。「利休 古美色(フルビイロ、だそうな。こんな当て字を使うなよな!)
」とありました。 元々付いていたのは「軍配」というらしいです。
残念ながらこの色のが無く、キンキラキンだったので没、こっちにしました。
それと「柿渋」。 少し赤っぽく染まるので、最後の塗りで墨をちょっとだけ
混ぜてやろうと思います。
左が元々の部材を鉋掛けしたもの、その右が新しい部材に柿渋を1度塗った
ものです。 何回か塗り重ねて色が近づくかどうかを観察していきます。
柿渋は時間が経つとかなり見た目の色が変化してくるので、じっくり見極めないと
とんでもない事になります。
単なる当てずっぽうですが、新しい部材は3〜4回塗り重ね、古い方に1回
塗った位で色が合いそうな気がしています。
会社からくすねてきた薬品。苛性ソーダ25%溶液です。 この濃度で
目に入ると失明します。
こいつを薄めてパーツのあく抜きに使うかもしれないので持ち帰り
ました。 出番がなければ速やかに返却します。
弊工房では他に使い道がありません。
あ、そうそう。忘れる所でした。 その右にある薄板は、板矧ぎに使う雇い核です。
今回の受注ではビスケットではなくこっちを主力で使います。
厚みの調整が厄介だったので、量産しておきました。
木工を始めて間もなく、まだ殆ど何にもわからない時期に買ってあった溝きり
BITです。 まだトリマーしか持ってなかったのに、どうやって使うつもりだった
んだろう? 怖くて一度も使ったことがありませんでした。
昨日の記事で1600の棚板が登場しましたよね、 あの棚板を矧いだんです、
初めて「雇い核」で。
その時のちょっとした失敗が指の怪我の原因となったのです。
今作っている頼まれ物は、基本的に全てメイプルで作ります。
床材もメイプルなんだそうです。
と思っていたら、追加注文。 作業テーブルやパソコンテーブルで
使うスツールが要るんだそうです。
そらまあ、お世話になった人だから作らせては頂きますよ。
でも、本職でやってる訳じゃあなくて、時間のやりくりは大変だし、
やっとこさ復帰できそうなゴルフの時間が又無くなってしまう・・・
あ、狙いはそれかい!!でもまあ、練習しなくても負けはしないと
思うけどなあ。え〜いそういう魂胆なら、乗ってやろうじゃないか。
やけくそ(下品かしら)で受けてしまいました。
全体がメイプルなので、スツールは座板だけメイプルにし、他の部分は
ウオルナットにします。全体としてみればワンポイントという印象に
なるでしょう。 で、早速粗取り。
まあ、こいつを作るのは7月に入ってからでしょうから、途中で気が
変わるかもしれないんですけど。
ね、随分捗ったでしょ。来週は大きい方の棚に目途を付け、作業テーブルと
パソコンテーブルの甲板の板矧ぎに掛ります。